恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



「お弁当を買いに行かなくても、ローストビーフを作っておいたんです。今日はそれと、サラダとスープでも作って食べましょう」


「えっ…!?ロースとビーフって…?」


料理には詳しくない古庄は、それがどんなものなのか、その時即座に想像できなかった。


「クリスマスだから、ちょっとソレっぽいものをと思って。…ローストチキンはさすがに無理でしたけど。…和彦さん、ローストビーフ好きですか?」


「ああ、もちろん好きだよ」


どんな料理か判らなかったが、古庄は即答する。


「ですよね。そう言うと思ってました」


いつもと同じように、真琴は嬉しそうにまた笑った。


今晩一緒に過ごすことは、今朝話をしたばかりなのに、真琴は前もって準備をしてくれていたということだ。
同じことを考えていたと知って、古庄の心に明るくて暖かい灯が灯る。


「それじゃ、準備するまでに、まだもうちょっと時間がかかるだろ?俺、ケーキでも買ってくるよ」


「ケーキですか?」


「大丈夫。もし君が食べられなくても、俺が食べ切れる大きさのにするから」


「…いえ、そうじゃなくて!」


真琴は、脱ぎかけたコートを再び着て玄関から出て行こうとする古庄を、とっさに引き留めた。



< 120 / 343 >

この作品をシェア

pagetop