恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「お弁当を買いに行かなくても、ローストビーフを作っておいたんです。今日はそれと、サラダとスープでも作って食べましょう」
「えっ…!?ロースとビーフって…?」
料理には詳しくない古庄は、それがどんなものなのか、その時即座に想像できなかった。
「クリスマスだから、ちょっとソレっぽいものをと思って。…ローストチキンはさすがに無理でしたけど。…和彦さん、ローストビーフ好きですか?」
「ああ、もちろん好きだよ」
どんな料理か判らなかったが、古庄は即答する。
「ですよね。そう言うと思ってました」
いつもと同じように、真琴は嬉しそうにまた笑った。
今晩一緒に過ごすことは、今朝話をしたばかりなのに、真琴は前もって準備をしてくれていたということだ。
同じことを考えていたと知って、古庄の心に明るくて暖かい灯が灯る。
「それじゃ、準備するまでに、まだもうちょっと時間がかかるだろ?俺、ケーキでも買ってくるよ」
「ケーキですか?」
「大丈夫。もし君が食べられなくても、俺が食べ切れる大きさのにするから」
「…いえ、そうじゃなくて!」
真琴は、脱ぎかけたコートを再び着て玄関から出て行こうとする古庄を、とっさに引き留めた。