恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜




「…とにかくそれだったら、山の上には登ってない…ってことかな?」


「確かに、板を履かずにリフトに乗ってたら目につくからね」


「それじゃ、そのことを今探している先生たちにも伝えないと……」


と、教員たちはそれぞれに手分けをして電話をかけたのだが…、


「……古庄先生……、呼び出しはしてるけど、電話に出ない……」


一人の教員が電話を耳に当てたまま、そうつぶやいた。


嫌な推測が、真琴の中に過る。
同じことを学年主任も勘ぐったらしく、顔をしかめた。



「また、古庄くんは…!携帯電話を留守番させてるんだろう!!」



そんな風に舌打ちされて、真琴は自分の身まですくむ思いだった。


きっと引率教員の中には、佳音を無理に連れて来たからこんなことになった…と、心の中で古庄を責めている者もいるだろう。


真琴も佳音を敢えて修学旅行に参加させることには疑問があったが、古庄の意志を尊重したかった。

きっとこの旅行で、古庄は佳音の中の何かをいい方向に変えたかったのだ…と、真琴はひたすら愛しい人を信じていた。



「…とにかく、他の生徒たちは日程通りに動かさないといけません」


その場にいてやり取りを聞いていた石井が、つぶやくように言って唇を噛んだ。



< 167 / 343 >

この作品をシェア

pagetop