恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
その時、ホテルの正面玄関から、見慣れたウェアを着た女の子が入ってきた。
不意に頭をもたげていた教員の一人が、目を凝らして叫ぶ。
「…も、森園っ!!」
その声に反応して、ロビーにいた教員たちの視線も一斉にそちらに向いた。
名前を呼ばれ、視線を受けて、佳音は思わず立ち止まった。そこに、教員たちが駆け寄ってくる。
「スキー研修を途中で放り出して、どこに行ってたんだ?先生たち皆で、探し回ってたんだぞ!!」
そう言って、佳音を怒鳴りあげたのは、学年主任ではなく日頃温厚な戸部だった。
戸部は古庄に続いて佳音を捜索しに行き、つい先ほど戻ってきたばかりだった。
いきなり恫喝されて、佳音は言葉もなく、おびえた目に涙をためて、自分を取り囲む教員たちを見回した。
「それよりも、怪我はない?ずっと外にいたんなら、体が冷えてるんじゃない?」
石井は佳音から事の顛末の説明を聞くよりも、彼女の体を心配した。
佳音はうつむいて、首を横に振ることしかできない。
「……詳しいことは、後で私たちが訊きます。今はとりあえず、見つかったということで。……平沢先生、森園さんを私たちの部屋へ連れて行って、ついててあげて」