恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



言葉と一緒にゴクリと唾を飲み込み、古庄の素直な熱情に対して、どう応えたらいいのか分からなくなる。


「私がいないと、お腹がすいて死にそうになるんですよね。この手を解いてくれたら、すぐにご飯にしますけど?」


真琴のムードのない受け答えに、甘い雰囲気が一瞬にして散っていき、古庄は言われるがままに真琴を解放した。



「…そういう意味じゃないよ。君は俺の全てなんだ…」


古庄は真琴の背中に向かってつぶやいたが、食事の準備をする真琴の耳に、それは届かなかった。





食事が終わり、片付けをし、いつも通りの週末が過ぎていく。
仕事をして、帰って来てから夕食を作る真琴に代わって、片付けは古庄の方がよく動いてくれる。

古庄は、よい主夫にもなれそうだった。


「和彦さんは、うちの父とは違って、台所に立つのも抵抗がないんですね?」


台所で洗い物をしてくれている古庄に、居間で休ませられている真琴が声をかける。


「…俺の実家に行った時、俺が姉貴から馬車馬のようにこき使われてたの知ってるだろ?それに比べたら、大したことないよ」


古庄とその姉とのやり取りを思い出して、真琴が可笑しそうに笑った。





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