そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
突然の告白に、冷静さを失いそうだった。

・・・でも、これじゃあダメだと深呼吸する。

誠の告白は嬉しい。

優しくて頼りがいのある年上のイケメン上司。

そんな人からの告白を、嫌だなんて思うはずがない。


でもだからって、その告白を受け入れるなんてできない。

…厳しくても、…毒舌でも、…合間に見える優しい修の笑顔が好き。

2人の時にしか見せない、あの柔らかな表情が好き。


どんなにこの想いが伝わらなくても、修以外、好きになれない。


そう思ったら、心がどんどん穏やかになっていくのが分かった。

今は、修が傍にいてくれる、ただそれだけで幸せ。

だから、次に、また誠とこういう話になったら、ちゃんと断ろうと思った。


…それから私は、気を取り直して残った仕事に集中した。

やっと終わったのは、午後10時。

会社の中は、警備員のおじさんと、各部署にいる数少ない社員位。


節電の為に、廊下は薄暗いく、なんだか怖い。


私は怖さから逃げるように、廊下を小走りに走った。


「…ッ!」

…私と同じ、残業中であろう社員とぶつかってしまった。


「す、すみません」

私は咄嗟に頭を下げる。

「…どこにいてもそそっかしい奴だな」

・・・?!
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