偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
《6》不釣り合い

奈那子sideー

「地道先輩、顔色悪いですね」
田代さんが私の顔を覗き込みように見る。

「え、あ…まぁ―昨日は飲み過ぎちゃって」

「二日酔いですか・・・」

「そう、二日酔い。何だか気分が悪い…少し席を外します」

私はムカムカする胸元を押さえて、フロアは出て行き、お手洗いに駆け込んだ。
いつもは何気に嗅いでいる田代さんの香水の香り。今朝は鼻が過敏に反応してしまって、治まりかけていた二日酔いの気分の悪さが再発した。
胃の中のモノが全部でそうになるけど、洗面所に顔を突っ込んで吐き気を必死に堪える。




田代さん達に引継ぎもしないといけないのに。
今日は二日酔いで仕事にならないかも。
気分が悪いのも治まり、早足でフロアへとリターンする。

「戻りました…」

フロアに戻ると稜真さんが田中部長と話をしていた。


「奈那子、ちょっと来い」

稜真さんが私の顔を見るなり、右手を掴んでフロアから連れ出される。

「急に何ですか?」

「ここでは何だ…会議室を借りよう」

「えっ!?」







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