虹色の騎士団
香澄は食事の乗ったトレーを手に、
彼方の部屋の襖の横木をノックした。

「彼方、入りますよ。」

食堂に現れなかった彼方は案の定、
部屋の中に居て分厚い本を読んでいた。

「……何の用だ。」

顔を上げもせずに声をかける彼方の態度を、
全く気にせずに部屋の中に入り、トレーを文机の上に置く。

「いつも言ってるじゃないですか。

朝は少しでも食べないと……。」

「……必要ない。」

「またそんな事言って………。」

香澄は溜め息をついて、彼方の前に腰を下ろす。

「……で??
何をそんなに怒っているんですか??」

「…………。」

「言ってくれないと、
僕だって分からないですよ。」

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