最後の恋の始め方
 最近は一眼レフにも、性能の優れたデジタルカメラが多い。


 撮ってその場で確認できるので便利。


 女性タレントは人生初の一眼レフで、ぎこちなくシャッターを押していた。


 あれこれ撮影の指導を開始し、初歩的レッスンを続行。


 テレビを見ている初心者にも解りやすいよう、身振り手振り、手取り足取り(さすがに足には触っていないけど)、安定した写真の撮り方をアドバイスした。


 それ以外に、撮影前の器具の準備なども。


 バッテリーは旅行の際は、あらかじめ複数購入しておいて持参したほうがいいとか、SDカードのオススメな容量とか。


 合間にカメラのアクセサリー(小道具、消耗品)の便利な使い方をピックアップしながら、撮影は続けられた。


 ……。


 「ただいま」


 番組収録の日のことを思い出しながら運転しているうちに、家にたどり着いていた。


 「おかえりなさい」


 理恵が玄関に迎えに出てきた。


 コートは脱いで自分で壁に掛け、手にしていたオードブルを理恵に渡した。


 「放送、さっき終わってしまいました」


 「やはり間に合わなかったな。後から録画で見るから。……番組、どうだった?」


 「和仁さん、楽しそうでしたね」


 ここまでは期待通りの回答だった。


 だが続いて、冷や水を浴びせられるような予想外の言葉を投げつけられた。


 「よかったですね。下品なタレントとイチャイチャしながらお仕事できて」
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