最後の恋の始め方
 「ちょっと休もう」「二人きりになれる場所で、話をしよう」「夜景でも見に行かない?」etc.


 よくありがちなホテルの部屋に誘われる時のパターンが、頭を駆け巡る。


 誘われたらどう断るか。


 私は内心、防御を固めていたのだけど……。


 「せっかくだから、イルミネーション見ながら話さない?」


 杞憂に終わった。


 外に出てイルミネーションに彩られた街並みを二人、歩きながら話を始めた。


 「今すぐとは言わない」


 少し歩いて、大通公園近くの街路樹の根元で。


 山室さんは私の前方に回りこむような形で、話の続きを始めた。


 「佑典とのことが完全に終わるまで待つから」


 さっき山室さんは私に、佑典とよりを戻す可能性はあるのかくり返し確認してきた。


 こういう展開を見据えて、本当に佑典との仲は終わったのかどうか確かめたかったのだろうか。


 「最初はこんなつもりじゃなかった。今後佑典との関係がどうなろうとも、俺は理恵ちゃんのいい兄貴分で居続けようと思っていた」


 「ならばなぜ……」


 何も言わないでほしかった。


 言わなければ誰も傷つけないで済んだかもしれないのに。


 「理恵ちゃんを……幸せにしてあげたいと願ったから」
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