最後の恋の始め方
 空を見上げて、それから辺りに視線を移動すると。


 飲み会帰りらしいグループが多かった先ほどまでとは異なり、今度はカップルが大部分になっていた。


 学生風の若いカップルや、夫婦と思われる年配の二人組も。


 それぞれ様々な環境や日々を送っているのだろうけど、心なしか誰も彼も幸せそうに見えてしまう。


 僕たちは、周りからはどう映っているのだろう。


 何も知らない人からすれば、僕たちは幸せに見えているのだろうか。


 「理恵って、初恋はいつだったか覚えてる?」


 「え?」


 僕の突然の問いかけに、腕の中の理恵は驚きを隠せなかった。


 「まさか佑典だったりする?」


 「い、いえ。違います」


 理恵は慌てて否定した。


 「もっと前?」


 「はい。もっと前です」


 そんなことを尋ねておいて怖くなる。


 佑典以外にも、理恵が想いを寄せた男は存在するのだろうか。


 そしてその男に理恵は、その身を捧げたりなどしていたなどと……?
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