最後の恋の始め方
 「元気?」


 「はい。山室さんは?」


 「俺は何とか生きてるよ。理恵ちゃんも元気そうで何より。そろそろ卒論提出が終わった頃かな?」


 「先週ようやく……」


 「そっか。卒論提出したらあとは卒業待つだけだね。卒業後は、」


 そこで慌てて、山室さんは言葉を止めた。


 たぶん佑典から情報が入っているのだろう。


 私とは別れたと。


 まさか理由も……?


 「理恵ちゃん、これから用事ある?」


 「え、いいえ」


 「そこに行きつけの飲み屋があるんだ。ちょっと寄って行かない? 立ち話も寒いしね」


 「いいんですか?」


 この夜はすでに、マイナス十度。


 歩道での立ち話は、確かに寒かった。


 ……今晩和仁さんは、東京。
 

 ただ山室さんには、遠距離恋愛している彼女がいることを聞いていた。


 いくら彼女が間近にいないとはいえ、彼女以外の私が二人っきりになっていいものかどうか気になった。
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