最後の恋の始め方
 「あの子……内村さんだっけ。佑典はその後、きっぱり断ったんだったよね」


 内村さん。


 オーケストラ部の後輩で、入部当初から佑典に横恋慕していた。


 それゆえ私に対しては、並々ならぬ対抗心を燃やし、偽情報まで広められたこともあった。


 そして佑典の出国目前に、実力行使に出た。


 付け入る隙のない佑典に、酔いつぶれたふりをして迫り。


 家に連れ込まれたという展開を、既成事実化させようと目論んだ。


 和仁さんとの密会のため、中田家に滞在していた私は、佑典の前に姿を現してしまう結果に。


 ……私と佑典とを引き裂くという目的は達成した内村さんだけど、真の願いは叶えることはできなかった。


 その後佑典は、「君の想いには応えられない」と、内村さんの求愛をきっぱり拒絶。


 程なくして赴任先へと旅立っていった。
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