最後の恋の始め方
「来年のカレンダー、届けたいと思ってたし」
山室さんの勤務先である銀行が、毎年発行しているポスターサイズのカレンダー。
地元出身の有名な画家の作品が掲載されているので、毎年楽しみにしていたのだけど、今年はうっかりもらい忘れてしまった。
先着順でしかも人気のあるグッズなので、気づいた時にはすでに品切れ。
残念だった……などと先日飲んだ際につぶやいたら、山室さんは何とか在庫を探してみると言ってくれた。
それを今日これから、届けてくれると。
「解りました。いつくらいになりますか」
和仁さんに勘付かれないよう、言葉を選んで応対する。
「これから20分。天候悪化を考慮して、30分後くらいで大丈夫かな」
和仁さんはもう間もなく出発予定。
この調子だと山室さんの到着は、和仁さんの出発後になるので問題はなさそうだ。
「では、それでお願いします」
「じゃ30分後にね」
一旦電話を切った。
「誰? 友達?」
電話を終えてすぐ、和仁さんが尋ねてきた。
「はい。大学時代の先輩で、銀行に勤務している人です」
「そう……。僕の高校時代の同級生にも一人、銀行に就職した女の子がいたな。銀行の窓口も華やかそうに見えて、結構大変なんだよね」
和仁さんは私の電話の相手を、勝手に女の子だと思い込んだようだ。
そのほうが都合いいので、黙っていた。
山室さんの勤務先である銀行が、毎年発行しているポスターサイズのカレンダー。
地元出身の有名な画家の作品が掲載されているので、毎年楽しみにしていたのだけど、今年はうっかりもらい忘れてしまった。
先着順でしかも人気のあるグッズなので、気づいた時にはすでに品切れ。
残念だった……などと先日飲んだ際につぶやいたら、山室さんは何とか在庫を探してみると言ってくれた。
それを今日これから、届けてくれると。
「解りました。いつくらいになりますか」
和仁さんに勘付かれないよう、言葉を選んで応対する。
「これから20分。天候悪化を考慮して、30分後くらいで大丈夫かな」
和仁さんはもう間もなく出発予定。
この調子だと山室さんの到着は、和仁さんの出発後になるので問題はなさそうだ。
「では、それでお願いします」
「じゃ30分後にね」
一旦電話を切った。
「誰? 友達?」
電話を終えてすぐ、和仁さんが尋ねてきた。
「はい。大学時代の先輩で、銀行に勤務している人です」
「そう……。僕の高校時代の同級生にも一人、銀行に就職した女の子がいたな。銀行の窓口も華やかそうに見えて、結構大変なんだよね」
和仁さんは私の電話の相手を、勝手に女の子だと思い込んだようだ。
そのほうが都合いいので、黙っていた。