最後の恋の始め方
 「や……」


 馴れた手つきが背中を撫でる。


 ふっとつままれたように感じた後、胸元が締め付けから解放された。


 露わになった素肌を求められる。


 「やめて……」


 おもちゃをもてあそぶように、両胸をいたぶられた。


 「本当にやめてほしいなら、僕を噛んででもここから逃れてみたら?」


 「……」


 私が心から逃げようなんて思っていないことを、和仁さんは分かっているので。


 再度背中に手を回し、強引に引き寄せる際に意地悪な笑みを見せる。


 その時、上半身にまとっていたものは、全て剥ぎ取られた。


 「噛んでごらん。噛まれたらもっと火が付くかもしれないけど」


 私は何も答えず、ただ目を伏せた。


 「それとも僕に噛まれたい?」


 手首を掴まれ、再びそっとベッドに押し付けられる。


 何度目かのキスを交わしていたら、突然……。


 ♪♪♪♪♪~!


 聞き覚えのある着信音が、かなり近くで鳴り響き始めた。


 「なんだ、こんな所に。びっくりしたよ」


 私の携帯電話が、ベッドの上にある。


 カーディガンのポケットに入れておいたようながする。


 それが絡み合う際に、ポケットから落ちてしまったようだ。
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