最後の恋の始め方
 「いや……。野菜……」


 首筋をなぞる唇がくすぐったくて、意味不明なことを口走っていた。


 「僕より野菜が大事?」


 「違、」


 「程よく抵抗されると燃えるんだけど、そろそろこのお口は塞いでしまおうかな」


 逃れようとあれこれ理由を発していた口を、和仁さんはキスでふさいでしまった。


 「……!」


 言葉は封じられ、着たままの服の上から互いの熱を感じる。


 キスに集中させられ、訳が分からなくなっていく意識の中、胸のボタンが一つ一つ外されていくのに気がついた。


 「慣れた手つきで」


 キスから解放された唇で吐き捨てた。


 「……どう思われてもいいよ」


 私と出会う前、他にどれくらいの女の人とこういうことを繰り返してきたのか……分からない。


 尋ねたところで意味がないし、知ったところで過去は変わらない。


 ただ一つ言えることは、どんなに躊躇してもそれはむなしい抵抗で、結局私はこの人の手に落ちてしまうのだということ。
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