最後の恋の始め方
***


 「いやー本当に、理恵ちゃんに会いに行って遭遇したのは、かの有名な水無月和仁氏。重ね重ね驚いたよ」


 札幌駅界隈の、和風居酒屋。


 掘りごたつに座り、いろいろつまみながらビールを飲んでいた。


 週末なので周囲は、仕事帰りのサラリーマン風の客で賑わっていて。


 奥の個室では、宴会も催されている模様。


 そんな中私たちは二人で飲み食いしていた。


 「……今夜は山室さん、職場のほうでは飲み会とかなかったんですか」


 山室さんは仕事帰り。


 同僚たちは飲みに出かけたとかで、残業もなくさっさと切り上げてきたらしい。


 私は大学はもう休みなので、この日の昼間はのんびりと過ごすことができた。


 「職場の飲み会も、続くからねー。一泊で定山渓(じょうざんけい)や登別に行くこともあるし」


 「温泉に一泊しながら宴会ですか。いいですね」


 「そうでもないよ。上司たちと一緒だから気が休まらない。こうやって理恵ちゃんと二人のほうが全然楽しいよ」


 「……」


 私はその言葉には答えず、黙ってビールを口にした。
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