波音の回廊
 「間もなく日本は、戦乱の世になるわ。ここ水城島も、間違いなく巻き込まれる。だからあなたも、新たな支配者として」


 「私は、支配者となる資格はない」


 清廉は、きっぱりと言い返した。


 「何を言うの。あなたはただ一人の殿の嫡男、次期当主でしょ」


 「次期当主……」


 「私がいるわ。ね、私と一緒に、これからの水城島を支えていきましょうよ」


 こともあろうに七重は、今度は清廉を誘惑して、生き延びようと企んだのだった。


 「私が側にいるから……」


 七重は清廉にまとわり付き、その両腕を首に絡ませた。


 「次は私ですか」


 「え?」


 「兄上が消えた後は、私を代わりに……」
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