波音の回廊
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 ……。


 自然と重なる唇。


 ひとたび体が離れてしまうと、そのまま取り戻せないような気がして。


 私は清廉を強く抱きしめた。


 彼の両親の遺体が横たわる部屋で。


 私もまた、異常な精神状態だったのだと思う。


 ……時が流れた。


 気がつけば地震は収まっていた。


 「清廉、聞いて」


 「別れ話以外ならば」


 首筋にキスをしながら答えた。


 罪を犯した清廉は、最後の頼みの綱である私に逃げられるのを非常に恐れていた。


 「ここから逃げましょう」


 「お前も私を見捨てるのか」


 清廉は疑い深くなっていて、私が一人でここから逃げ出そうとしているのだと誤解したらしい。
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