Sweet Lover
言葉の出てこない私を見ていた響哉さんは、しばらくしてからふわりとその整った顔に甘い笑みを浮かべた。

「俺の傍に居るの、嫌?」

「ううん。私、響哉さんと一緒に居たい」

それは、本心だったので迷わずに瞳を見て言えた。

「じゃあ、今はそれだけでいいよ。ほら、起きないと学校に遅刻する」


……ごめんね、言えなくて。

先に起きた響哉さんの背中を見ながら、心の中だけで謝った。


私が見た夢。

それは。


ママと響哉さんが唇を重ねている夢だったの――。
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