Sweet Lover
響哉さんは立ち上がって携帯を受け取り、不安そうな私の頭をふわりと撫でてくれた。

「はい」

柔らかい声は、直後、緊張を帯びたものに変わる。

「……そうなんですか」

響哉さんはテレビのリモコンを取り上げて、スイッチをつけた。

朝の情報番組の時間帯。
ワイドショーともニュースともつかない、明るい番組は、今、芸能ニュースの時間だった。

「……残念ながら、映像はまだ入ってきてないようですが、近々記者会見を行うという噂もあるようです」

アナウンサーの声をバックに、流れている映像は映画のワンシーン。
< 184 / 746 >

この作品をシェア

pagetop