Sweet Lover
ちくりとした痛みと、恐怖心に我に返る。

「煩いのは、苦手だ」

ぼそりと男が言う。
首の皮膚が切れたのか。

つつっと、液体が首を滴る感覚にゾッとした寒気を感じた。

「――あなたのお父さんが、私の両親を殺したのね――」

他に言い方もあったと思うけれど、もう、言葉を選ぶ余裕はなかった。

――どうせ、ここで殺されるなら、もう、どうでも良い――

私の目にも声にも、憎悪が篭っていた。


「ああ、そうだよ」

それなのに――。
加害者の息子のクセに。


彼は、恨みと殺意でぎらめかせた瞳で私を上から見下ろした。
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