Sweet Lover
響哉さんは私に視線を流してふわりと微笑んだ。

それから、くしゃっと私の頭を撫でる。

「スキャンダルに巻き込まないよう、細心の注意を払うから。
ね? 心配しないで。
こんなに大好きなマーサのこと、俺が傷つけると思う?」

こっぱずかしいとしか思えない台詞を次から次にその紅く艶やかな唇から吐き出すのは、アメリカ暮らしのせいなのか、彼の元来の性質によるものか、分からない。

けれども、砂を吐くような甘い台詞が、私の心をふわふわと舞い上がらせてくれることだけは、確かだった。
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