Sweet Lover
実際、オダの目は気持ち悪いほど血走っていて、私はあまり近づくことが出来なかった。

一人、入り口の壁に縋ったまま固唾を呑んで成り行きを見守る。

「結局、お前が須藤に逢いたいだけだろ?」

先生は、短くなった煙草を携帯灰皿に押し付けながら、ため息をつく。

「――それの何が悪いっ。
 だいたい、アンタ、さっきから須藤、須藤って連呼しているけど、須藤 響哉の何なんだ?」

先生は、その質問を待っていましたといわんばかりに相好を崩した。

「一言で関係を表すのは難しいけれど――。
 そうだな、強いて言うなら親友以上」

だよね? と、私に視線を飛ばして聞いてくる。

――まぁ、仲の良い親戚で影武者という存在は、きっと世に言う『親友以上』に該当すると思われるので、私は頷くほかない。
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