Sweet Lover
私は、しばらく言葉が出なかった。

それは、嬉しさで胸がいっぱいになったせいなのか。
それとも――。
好きで好きで仕方がないという感情が暴走しているせいなのか。

はたまた――。

理由なんてさっぱり分からない。

けれども。
響哉さんの言葉は私の胸の奥にある、前人未到の柔らかい部分をぎゅっと掴んで離さない。

おいで、と言われたわけでもないのに、マリオネットのように私はふらりと立ち上がり、ドアのところで待ってくれている響哉さんの手を掴む。


大きな手は暖かく、震えている私の手を包み込む。


「マーサが人に迷惑も心配もかけない生き方を望むなら、反対はしないけど――。
 俺のことだけは例外枠に入れてくれない?」
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