Sweet Lover
無理ばっかり言うのね、と、私は苦笑する。

でも、響哉さんは私の指に自分の指を絡めながら、話を続ける。

「もちろん、今の考えをすぐに変える必要なんて無い。
 10年後に、そうなってくれればいい。
 気は長いほうなんだ」


――10年後――?

首を傾げる私に、響哉さんは至極真面目な目を向ける。

「今の考えで、マーサは独り10年も頑張ってきたんだろう?
 だったら、同じだけ時間をかけて、俺がゆっくり解(ほぐ)してあげる」

でもね、と、響哉さんは付け加えた。

「人を好きになるとか、人と一緒に暮らすとか、誰かと仲良くするってことは――。
 その人からかけられる迷惑や心配も自分のできる範囲できちんと受け止めてあげるってことを意味していると思うけどね、本当は」
< 706 / 746 >

この作品をシェア

pagetop