LOVE SICK
「今夜、いつもの店で待ってる」

「祐さん!?」


けれどその言葉に驚いて彼を見ればとても真剣な瞳をしていた。
いつも優しいダークブラウンが僅かに深い色味に見える。


脅しなんかじゃない。

冗談なんかじゃない。

逃げようとした私を逃がすつもりは無いとでも言うように、私をその瞳だけで追い詰める人。


「俺は、るうを心配する権利も無いのか?」

「それは……」


そんな言い方をされても、何も言えない。


「又会社に押しかけられたく無かったら来なさい」


ただただ、いつだって甘く優しい彼のこんな真剣な表情を私は見た事が無い。
いつだって子供を見るかの様に甘やかす彼にこんな風に厳しい言葉を向けられた事も一度も無い。

それをこんな時に言うなんて……


「……ずるい」


私が零した声に、祐さんはきつく掴んでいた私の左腕をそっと離した。
< 133 / 233 >

この作品をシェア

pagetop