LOVE SICK
***



その後の仕事は集中力を欠いてしまいちっとも進まなかった。


「さっさと帰れ!!!」


最終的には斎木さんに怒鳴られて追い出される様にオフィスを後にした。


以前から斎木さんはそういう人だ。
自分が余裕が無い時は平気で部下に八つ当たりをする時がある癖に、部下の事を意外にもとてもよく見ている。

精神的に追い詰められている人を見抜くのが誰よりも得意で、他人の異変をいち早く気が付く。
一日、二日ならプライベートな理由でも訳を聞かずに休ませたり帰らせたりする様な所がある人だ。

だからこの人は時々横暴でもなんだか憎めないし。
だから女性にもモテるんだ。

夢中になっていたあの頃とは違ってやけに冷静に斎木さんについて分析をした。


けれど今日ばっかりは、彼のやり方は私にとっては救いじゃない。

帰りたく、無かったから……

この期に及んでも逃げ出したかった。
仕事が理由ならいけなくても仕方がない。心のどこかでそんな気持ちがあった。

けれど逃げたら祐さんは本気で又職場に来るかもしれない。
それは困る。

あの人は私が担当する取引先の責任者で。
そんな人と個人的な関係を持ってイザコザを起こすなんて……

そんな事出来るわけが無い。

祐さんだってそんな事をする人だとは思えないけれど、今日の瞳はハッタリには思えない程に切羽詰まっていて……

だから憂鬱な気分のままそこに向かうしか無いと腹を決めた。
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