LOVE SICK
私は、他の女の人と付き合っている斎木さんと付き合っていた。
分かっていて、でも傍にいたくて、目を瞑っていた。
何も考えずに好きだから、と傍にいた。

そうして斎木さんに捨てられて、私は一人、傷付けられたと……
斎木さんに訴えるでもなく、ただ一人で泣いていた。
自分ひとりが不幸だと思って。

他の人が傷付いているなんて考えなかった。

けれど、他人の痛みに鈍感だった私は他の人を傷付けていた筈だ。

斎木さんの奥さんになった人が私の存在を知っていたのかは知らない。
斎木さんの恋人だった人たちが私の存在を知っていたのかは知らない。

けれど私の存在もまた彼女達を傷付けてきた筈だ。

騙されていたんじゃない。
知っていて、私は斎木さんの傍にいたんだ。



そして傷ついた私は、傍にいた優しくしてくれる祐さんに縋った……
ただ甘えていた……

そうして、名前の付かない不誠実な関係に溺れていた……

向き合う事、ひとつせず……



そんなあさはかな私は、祐さんの離婚歴とか子供がいるとか関係無く、それなら彼のそばにいてもいいのかと一瞬思ったんだ。

何も考えずに、そう思ったんだ……


そんなバカな私を、祐さんは見透かしていたんだろう……



「バカだな……」


小さく、本当に小さな声で呟いた……
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