LOVE SICK
私は立ち上がって祐さんの前に一歩出た。
その瞳を真剣に見つめる。
逸らしたくなる程綺麗で、吸い込まれそうになる程愛おしい、その瞳……

もう一度、息を深く吸い込んだ。


「祐さんと前の奥さんと、今のご主人が、お子さんが幸せになるのを見守るんでしょう? そこに今更別の人間が介入するのは不可能です。そんな事しません」

「るう?」

「祐さんの前の奥さんは、今のご主人が幸せにします。前の奥さんは、今のご主人と、お子さんを幸せにするんでしょう?」

「……」


怪訝そうに私を見つめる彼は、私が言おうとしている事をまだ理解出来ていない様だ。

どうしてなんだろう。
私にそれをしてくれたのは、この人なのに。
どうして誰かがこの人にそれをしたいと思う事を理解出来ないんだろう……

確かに、実行するのはとても難しい。

でも思いつくのは、とても簡単だ。
願うことは誰にでもできる。

それなのに、どうしてこの人は思い至らないんだろう。
私の、気持ちに―……


「……じゃあ、祐さんは、誰が幸せにするの?」

「そんなのは……」


少し、切なさを孕んだその瞳に泣きそうになる。

“そんなの”なんて、言わないで……
とても大切な事なのに……
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