LOVE SICK
そんな彼を見ていればクスリと笑いが込み上げて、私はまた得意げに指折り数える。


「ホント子供で構われたがりで我儘で目立ちたがりで自分勝手で……」

「うるせーな!」

「……でも、尊敬してます」


斎木さんは、今度こそ本当に言葉を失ったみたいだ。

私は斎木さんの瞳を正面からじっと見つめた。
以前の私が、恋焦がれていた黒い瞳……


「支店長が、いつも私たちがやりがい持って仕事できるようにって思ってくれてる知ってます」


そう。私は知ってるんだ。


「貴方が部下や後輩が落ち込んでるのにいち早く気が付く人だって知ってます」


この人がどんな人か。


「むちゃくちゃ怒られたこともあるけど、ミスをフォローしてくれてるのも気が付いてます」


人よりもたくさん欠点があって。最低だと思うし、子供だし、だらしないしどうしようもなく人を傷つける人。


「あなたが最後の最後は絶対に守ってくれるって分かってるから、私たちは自分が正しいと思った事ができるんです」


でも、私は上司としてのこの人は嫌いになれない。
この人の部下で良かったと何度も思った。


尊敬が、恋に変わった。
元々私の彼への想いは恋じゃなかった。


「感謝してます」


感謝が、恋に変わった。


恋では無くなって、私のこの人への想いはただ戻っただけだ。

私のこの人への想いは、恋と一緒に消えて無くなってしまう様な儚いものではなかった。
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