LOVE SICK
「私、貴方のことが本当に好きでした」

「ああ……」


好きだったな。

間違いだらけで全然上手にできなかったけど。

もしかしたら、愛していたのかもしれないな。


「斎木さん、バカな男に惚れたなって思わせないで」

「……」


私は、勝気に微笑んで見せた。

彼にこんな口の利き方したこと、付き合ってた頃は無かった。
いつも、嫌われることを怖がって、顔色を伺いながら機嫌を損ねないように話をしていた。


「あの人になら遊ばれても仕方ないよねって思えるくらい、いい男でいてくださいよ」


幻滅させないで。

貴方は、私の人生を変えた人なんだから。

目を逸らしてばかりいて、傷ついてぼろぼろになった。
それでも、好きだった人なんだから。


恨みたくなんかない。
憎みたくもない。

あの時のバカだった私を、それでも一生懸命だった私を……
あなたに夢中になった私の恋を、つまらないものにしてしまわないで。


「貴方が上に立って、“仕事なんてつまらない”なんて言えない様な会社にしてくれるんでしょう?」


今までみたいな不誠実な恋じゃなくて。
ちゃんと幸せになってよ……


「同じ様に奥様と向き合ったら、きっとすごく幸せな家庭になりますね」


私が羨ましくなるくらい、悔しくなるくらい、幸せになって見せて。


情けない顔じゃなくて、月みたいに高見から笑って見せてよ……
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