LOVE SICK
「……」

「何その顔」


唖然とした顔で彼を見ていただろう私に、僅かに眉を顰めた彼。


「30歳くらいだと思ってて……びっくりしました」


バカみたいに開いた口から隠す事を忘れた本音が漏れる。


「微妙だな。そんなに威厳ないかな?」


少し、心外だったみたいだ。
30代の男性には『若く見える』は使い方によっては褒め言葉にもなるけれど、その逆にもなる……

けれどもう、人生最大ともいえる失態を犯してしまった後だ。
今更取り繕う必要も無いのかもしれない。


「柏原さん奥さんはいますよね? 連日女の子とご飯なんていっていいんです?」


程よくお酒も入り調子に乗った私はずけずけと気になっていた事を聞いてみた。

いい加減な私でも、人の物に手を出す気は更々無い。
起きてしまった事は取り消せないし、この人とどうこうとか考えてる訳じゃない。

けれど、起きてしまった間違いの質を一応は自覚しておきたい。


「いないよ。言い訳が必要な相手なんて」

「結婚してないんですか? 恋人も?」


けれど答えは余りにも意外。
そんな筈ないだろう。

こんな極上の男を周りの女が放って置くなんて……
そんなことある筈がないでしょう?

けれど彼は呆れた顔を私に向けた。
< 52 / 233 >

この作品をシェア

pagetop