LOVE SICK
「妻や恋人がいたら君とあんな事、する訳がないだろ」

「……」


その言葉に、何故かドキリと跳ねてしまう私の意志薄弱な心臓……


「何?」

「いえ。なんでも無いです……」


気付かれたく無くて、言葉を濁した。


「だから、こういう女性と行く様なレストラン、最近来てなくて……来たかったんだよね。付き合ってくれてありがとう」


ニコリと微笑むその笑顔は薄暗い中でも攻撃力は衰えることなく、むしろより威力を発揮してくれるのはどうしてなんだろう……

柏原さんの言う通り、確かに周りはカップルが多い雰囲気の良い店だ。
しっとりと流れるピアノジャズに蝋燭で灯された光。

カジュアルなイタリアンでトマトパスタを食べるつもりだった私は実は相当驚いた。

けれど柏原さんに誘われたら喜んで着いて来る女なんて、私を始めゴロゴロしているだろうからこれは私に気を使わせない為の社交辞令なんだろうということは簡単に分かる。
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