LOVE SICK
「るう?」


そうして何となく俯いて暫く黙ってしまった私を、優しく呼び掛ける声。
呼ばれて彼の瞳に再び照準を合わせれば、先程迄の憂を含む瞳の色は影を潜めてなんだか少しだけ楽し気だ。


「ついてる」


なんて言って、私のほっぺたに腕を伸ばすと残ったソースすを親指で拭ってペロリと舐めた。
一瞬見えた、赤い舌にあの日、何度も重ねたキスを思い出した。
私を見据える彼の瞳は酷く扇情的に見える。

体温が上がるのも、頬が赤くなるのも、抑えられない……

もう……どうしたらいいのか分からない。


「柏原さん……私……」

「ん?」


優し気なこの瞳は、今は優しさじゃなくて意地悪だ。
この人はきっと、私が今感じている浅はかな欲求に気が付いている。

それなのに私に先を促す彼は、優しくない。


「明日、休みなんですけど……」

「……オレもだよ?」


多分、お酒の所為なんかではなく、私の顔は赤かった。


「……」

「うち、来る?」
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