LOVE SICK
「祐さん。あの……結婚はしないって言ってましたよね?」


私は彼の腕の中で目を瞑り、そっと言葉を紡ぐ。


「ああ。する気は無いよ」

「勿体無いな……」

「なんで」


小さな声だったから聞こえないかもしれないと思ったけれどしっかりと聞こえていたみたいだ。
ゆっくりと瞼をあげれば、彼は腕の中の私を覗きこんでいた。
思いのほか近かったその距離に、その視線の妖艶さにドキリと心臓が騒ぐ。


「このスキルを使わないなんて、惜しい事してますよ……」


けれどそんな事は隠して冗談みたいにそう言えば可笑しそうに笑う彼。


「お姫様に満足して頂けたらなら光栄です」

「もう……すぐ子供扱いする……」


不貞腐れた振りをする私の頭を優しく撫でてくれる大きな温かい手。


うん。気持ちいいな……
私、多分ヤバイな……


「私も彼氏いないんです」

「それこそ勿体無いだろ」

「暫く恋愛はしたくないかなって……」

「世の中の男が泣くな」


……それは、さすがにお世辞がいきすぎてる。
そう思って笑ったら、少し苦笑になってしまった。


「泣いてくれる人がいたらいいんですけどね」


呟いた声は少し疲れた様な気怠さを含んでしまい、そんな私に彼も同じ様に苦笑した。

この人も、大人だから。
私の領域に踏み込みすぎる様な事はしないだろう。

だから、私が好きな色の、その瞳をじっと見つめられる。
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