桜吹雪~運命~







「…で?
美神遠矢くんは、何で海鳴村に来たんじゃ?」




ばぁちゃんの突然の質問に、遠矢くんはすんなり答える。

まるで、聞かれるのを予測していたみたいに。




「僕は、三神村から逃げてきたんです」

「ほぉ…」

「梅子さんもご存知だとは思いますが、三神村を治める三神家は、自分たちの気に入らない人を殺していきます。
僕も……弟が殺されて…嫌気が差して、逃げてきたんです」

「その怪我も、三神家に見つかってのことか?」

「はい…」




弟さんが…殺された……。

紅葉さんと、同じ境遇なんだ……。




「どこかに知り合いはいるのか?」

「いえ…。
僕の肉親は弟だけでしたので」

「なら、家に泊まるか?」



ばぁちゃんの突然の言いだしに、遠矢くんは驚いていた。




「実はな、この小町も、どこから来たのかわからず、わしの家にいるんじゃ」



あたしの場合、村じゃないんだけどね…。



「お前さんの怪我も治るまで絶対安静じゃと、医者も言っていたしの」



確かに、あんな怪我のまま追い出すわけにはいかないだろう。






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