ナリセの湖
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森から出ると景色が一変した。


どこを見ても知らないものばかりで。


知っているのは頭上高くのキャンパスに


青い絵の具を塗ったような快晴の空だけで。


楽しかった、不安だった。


―――――――――――――――美しかった。


もちろんあの森も綺麗だったけど、


ここにいる人が、一生懸命生きている人が輝いて見えた。


私の口はもう勝手に動いていた。



『ねぇ、リナリア…』


「ん?」





『私、ここが好き。ここの人たちが好き。
 この国の人たちを守りたい。 』





「……………それが聞ければじゅうぶんだ。」


リナリアはそれだけいうと城まで喋らなかった。

だけど、横に並んだときに見た顔は――――――――――




綺麗に微笑んでいた。





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