甘い言葉で
俺は、世に言う『イケメン』と呼ばれる位置にいるそうだ。
この顔がそんなにカッコいいもんかねぇ?
タローほど濃い顔でもないんだけどな。
まぁ、そう言ってもらえるなら背の高いさっぱり顔の父親と二重の目鼻立ちがいい母親に感謝しないと。
たが、感謝したくてもしきれない部分があるのも確かで.........
常にタローと共に行動するせいか、俺たちの周りには絶えず女が取り囲んでいた。
どいつも彼女の場所を手に入れたくて、俺への媚び諂いが邪魔で仕方がなかった。
男だし、可愛い綺麗な女が隣にいたら別に嫌悪することもないし、かといって好みでもないから放っておく。
が、その冷たい態度がクールだと勘違いされて逆に女達が近づく羽目になった。
タローと俺は白黒逆の王子扱い。
タローが柔らかい白王子で、俺がクールな黒王子。
高校生にもなれば他校の生徒まで俺の名前を知っていた。
中3の秋、学園祭の実行委員に選ばれた俺の前に他クラスの可愛いと言われる女・サクラがやって来た。
今までの女達とは違って女の武器を使って近寄ってくるわけでもなく、ただの同じ委員会役員として接してきた。
仕事も出来るやつだったし、俺も話しやすくて気がつくと共に行動することが多かった。カレカノなんて関係ではないが仲のよい女友達くらいには思っていた。
さっぱりした性格が気に入った理由かもしれない。
男兄弟に挟まれて育ったせいだと本人も言っていたな。