甘い言葉で
「あんなに走り回れるなんて、やっぱり若いなぁ~」
あたしは3人を見つめながら、浅瀬から出て日陰に移動して腰を下ろした。
「あゆみはいつからおばあちゃんになったのよ?」
サチが隣に座った。
「あれ?タローちゃんさんに話があったんじゃ.........」
「また面白いネーミングつけたねぇ。タローちゃんとの話はもう終わった。いつまでもモテる男の傍に居たくないよ。いくらタイプの顔と言ってもさ、わたしは他に思い人が居ますから!」
あぁ~そういえば、サッカー部の高橋くんが好きだとか言ってたね。
彼は同じ塾に通っていないからここにはいないけれど。
『彼も密かに人気あるからね。私の好きになる人はいつもライバルがいるよね......』
って、サチさんや。
心の声、聞こえてますよ。
「ところで、我らの美幸嬢は?」
あたしが近くに居ない美幸の事を聞くと
「あゆみの協力が当てにならないから、女豹共に負けないように何やら作戦立てて行動に移すって言ってたね」
サチが指を差した場所には美幸が。
そこは、トモキ君を追いかけているしほチャンとさゆりチャンの3人がいるところ。
喧嘩の仲裁的なことをしてるのかな?
ん?『面倒見が良いんですよ、わたし』のアピールですか?
女豹達はチビッ子達のおふざけ遊びは目障りって顔してるもんね。
『これだからガキは嫌よね』みたいな台詞が聞こえてきそうです。
「成る程ね。元気ボーイ達の監視役をしてるのはイケメン達だもんね。お姉さま達よりはポイントゲットだね。さすが美幸さん」
あたしは思わず拍手しちゃいました。
あの二人以外にも優しそうなお兄さんいるもんね。どこで誰が見ているかわからないんだから、可愛さアピールはしておいて損はないかもね。
「今回、わたしは引き連れ回されることがなさそうでなによりです」
サチもピースサインしてます。
「そうだね。いつもご苦労様です!」
あたしは大袈裟に頭を下げて労った。