甘い言葉で
「おーいそろそろ飯にするぞ!着替えたらこっちに集合だぞ?」
晩御飯の準備をしていた塾長が高台から声をかけてきた。
キャンプには、塾長の甥っ子(名前は陽一さん)が毎年お手伝いに来てくれる。
陽一さん、大学生っていってたかな。
食事の準備は陽一さんが主になって行われる。
顎髭があるガタイの良い塾長とは違って、陽一さんは線の細い優しそうなお兄さん。
お姉さま方の中でも陽一さんのことが気になっている......というか、好きなんだろうな~ってバレバレな人も居ましてね。
陽一さんの隣にもハンターが居ますよ。
「キャンプといったら、定番の晩御飯はカレーですよね?さぁ、皆さん。手際よく美味しいカレーを作りましょう!」
陽一さんの声かけで、黄色い声が響きます。
火を起こしたり刃物を使うので、チビッ子たちが近づかないようにあたしは自ら進んで遊び相手をしていた。
水遊びをしていた子達は、大抵が疲れて寝てくれたりする。
あたしは、なれない環境で泣いたりしないように見張りがメインかな。
体力がある子も中にはいるから、その場合は主に話し相手。
『手伝いたい』っていう子もいるんだけど、出来る範囲で陽一さん指導のもと、参加させてる。
しほチャン、さゆりチャンもウトウトしだしたのであたしの役目は終わりかな~って思ったとき、後ろから声がかかる。
「あゆみちゃん、俺とも話し相手になっくれる?」
驚いて振り向くと開いているドアに持たれたイケメンが居た。
「えっと、ゆっくんさん.........でしたっけ?」
あたしが名前を確認すると、その人は笑いだした。