甘い言葉で


「プッ!」


視線が合わさるとユズくんは吹き出した。


「あゆみちゃん、可愛いねぇ~。やっぱり、いいね。うん」


「へ?何がいいの?」


段々ニコニコ顔のユズくんに反して、あたしの顔は眉間にシワ。


「ん?あゆみちゃんの彼氏に立候補しよっかな?なんて思ってさ」


「か、彼氏って......あたし居ないし、居たことないし......」


ハッ!自分でバラしちゃいました!


「うん、わかってる」


おぉい!
『わかってる』ってなんですか?
そうですか、そんなにバレバレですか?
拗ねますよ?


「ねぇ、あゆみちゃん」


「な、なんですか?」


もう、ユズくんなんて見てられない。
腰に巻かれたユズくんの腕を剥がそうとあたしも必死。


だけど、そんなことさせまいとユズくんはあたしの顎を取り、上を向かせる。


「あ俺がゆみちゃんの彼氏になりたいって言ったら?オッケーくれる?」


「は?」


「俺、一応......あゆみちゃんの王子。昨日話したよね?5年くらい前、いじめっ子から助けたんだけど?」


え?王子?
ん?王子?
助けてくれたことにはかわりないから......
王子、なのか?


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