甘い言葉で


「え?ユズくんが?王子?」


「そう。今年のキャンプは運命の再開のため。おれもあゆみちゃんもフリーだし、お付き合いはじめても問題なし。いかがですか?」


え?
なんですと?


「ちょっと!ユズくんは何をおっしゃる!あたしもユズくんも、お互いの事何も知らないし。好きか嫌いかもわかりません!」


「え?俺の事はこれから好きになってくれたらいいよ。俺は、昨日のあゆみちゃんを見ていて、ちび達の相手をしていて優しい子だなぁ~って確認しました。俺にも年の離れた弟がいるからさ。嫌がらずに相手してくれたら嬉しいなって」


突然の告白ですよ。
あたし、どうすればよいのでしょう。
顎を捕まれたあたしは下も横にも動かせない。
そう、逃げれない!


「ゆ、ユズくんはあたしよりも、もっと可愛らしい女の子がお似合いかと?ほら、同級生のお姉さま達とか......背もあたしより低くて可愛らしい人いましたよね?」


なんとかユズくんから逃げようと必死なあたし。
だけど、ユズくんはより強くあたしを抱き寄せる。


「は?俺の好みはそんな女じゃないよ。優しくて、背の高い俺と釣り合うあゆみちゃんがタイプ。」


『ボン!!』
と、あたしの顔が赤くなった。
これは自分でもわかる。わかった。


「ねぇ、あゆみちゃん。俺の彼女になって」


ユズくんはあたしのおでこキスを落としてから目元に唇を滑らせる。
あたしの右手はユズくんの服をギュッっと掴む。
左手は、あたしの顎に沿わせたままのユズくんの右腕に。


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