甘い言葉で


ふん!
そんなこと言っても.........
頭撫でてくれるけど、無視した代償はそんなに簡単に許さないんだからね!


もっとね、あたしでもわかる彼氏ならではの甘い台詞があるんじゃございませんか?


プリプリ怒りモードに入りそうなあたしの耳元に聞こえたユズくんの言葉は


「なぁ、あゆみ。俺さ、大好きなあゆみのこと心も身体も早く抱き締めたいから、受験......頑張れよ?」


『理性総動員して年明けまで待ってるからな』


あたしを優しく包み込んで届けてくれた言葉はすごくビックリした。
けれど、とても嬉しくてあたしにでもわかるストレートな言葉が涙を呼び寄せた。


ユズくんから少し身体を離して目線を合わせて


「うん、頑張るよ」


「それは、受験ですか?それとも.........」


「も、もちろん受験ですっ!」


もう!ちょっと見直したらこれだもん。
でもね、そんなユズくんも好きだよ。


ユズくんの手があたしの頬に触れて、そのまま首に回されると自然とお互いの顔が角度を変えて吸い込まれるように唇が触れ合った。
ついばむようなキスから二人の熱が交わるようなキスまで。


静かな部屋には二人の吐息と濡れた音が響く。
呼吸を求めて唇を離しても、すぐにユズくんに捕まってしまう。



< 89 / 101 >

この作品をシェア

pagetop