甘い言葉で


どれだけキスしていたんだろう。
大きなリップ音がして唇が離れたら、ユズくんのおでことあたしのおでこがくっついた。


二人とも視線を合わせながら息を整えていると自然と笑えてきてた。
こんなにも長いキスをしたのはじめてかも。あ、ユズくんはあるかも?


自分で自分の不安材料を作っておいてなんなんだけど......
知りもしない元カノを考えると悔しくなって『もう一回』って自分から強請るようにユズくんにそっと触れるだけのキスを。


「ユズくん。頑張ったご褒美、待ってるからね」


耳元で呟いて、あたしはまたユズくんの首に腕を回して抱きつく。
自分からキスしておいて恥ずかしいって変かな?


「あゆみが頑張れるように、俺も傍で支えるから心配しないで?」


優しく頭を撫でてくれた。
あたしもユズくんの傍にいて、支えてあげるからね。


「あゆみが、来年の春には今までで一番の笑顔になれるように......ね」


うん。ありがと。


「ユズくん、大好き」


「俺は、愛してるよ」




恋なんてお休みしても向こうから近づいてくるんだね。
それも、こんなに近くに居たんだ。


お互いの向かう道は違っても、傍にいたい気持ちは変わらなくって。
相手を思う気持ちは増すばかりで。
お互い辛いことも経験したから、今を大事にできるんだもんね。



これからも、あたしのこと好きでいてね。


いつまでも、甘い言葉で繋いでいてね。




ずっとずっと、傍にいるからね。



END.
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