隣の女
そこで、朝子も素直に

ハデージョにたずねた。

「ところで、速水さんって

すごくおしゃれですね。」

「そう‥ですか?」

「だって、ほんとセレブみたい。

 どう逆立ちしても私みたいに

 薄給のOLには

 とても手が出ない高級品ですよね‥」

「あら、そんなことないのよ。これ‥。」

「どうして?」

「友達にアパレル関係の人が何人かいて結構

 安く分けてもらっているのよ。私はサイズが

 大きいから、意外に半端物になるらしくって

 手に入りやすいの。だから下手な国産品より

 はるかに安くゲットしてるんです。」

「えぇーっ!ほんとに?羨ましいわぁ。」

「独立して一人で仕事していると服装って

 結構大事だから‥枚数が必要だから

 出費としては結構痛いんですけど必要経費の

 つもりで‥。大変なんですよ、これでも‥。」

根が単純な朝子は、この一言ですっかり

ハデージョに好感をもってしまったのである。

あとで、痛い目にあうことなど夢にも思うことなく‥。


 
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