重ねた嘘、募る思い
「じゃ……じゃあ陽さんの恋がうまくいくように協力してっていうのは……」
「そんなの陽がのんをゲットして恋がうまくいくように、って意味に決まってるじゃないの、ねえ」
小首を傾げて同意を得ようとした真麻に対し、陽さんは「うん」と微妙にうなずき躊躇うように言葉を詰まらせていた。
「そうなんだけど、あの時はさすがに鈍感なのんちゃんに腹が立ってあんな言い方しちゃったんだ。勇気を振り絞ってアプローチしているのに、のんちゃんはずっと僕が真麻ちゃん狙いだと思い込んでいて、どうにかひと泡吹かせたくなって……そんなことしたって気持ちがすっきりするわけでもなく、逆に自分の器の小ささが露呈しただけですごく後悔した」
悪びれる陽さんを見て、その場で卒倒しそうになった。
どんな言い方をしたのか真麻に問いつめられた陽さんは簡潔にあの時のことを説明し、頭をバシンと叩かれた。それはすごくいい音で。
「結局あんたがみんなこじらせてるんじゃないの。のんは恋愛初心者だって教えたのに、あんたがうまくリードしないでどうすんのよ。ばーかばーか!」
「面目ない……」
しゅんと肩をすくめた陽さんが頭を下げた。
恋愛初心者って……大声で言われるのも恥ずかしい。だけどその通りだから何も言えない。