重ねた嘘、募る思い

 陽さんの希望により歩く時はわたし達が彼を挟むようにして三人で並んだ。
 両手に花を連呼しているけど、予想通り陽さんは真麻の方ばかり見ていてふたりの会話は弾んでいた。
 時折「ねっ」と話を振られても曖昧にうなずくしかできない。だって何を話しているのか全くわからないから。
 そして徐々に歩みが遅れ出すわたしを真麻が気にして振り返った。

「のん、大丈夫?」
「うん。足に少し違和感があるだけ」
「そうなの? どこか入ろう」
「ううん、大丈夫。歩くのは苦じゃないの。だけどマイペースに歩きたいから気にしないで」

 そう告げると、躊躇いながらもふたりが並んで前を歩き始める。
 とってもお似合いのふたりだ。見てて絵になるし、やっぱり描きたくなるくらい。
 アトラクションに乗る時も、三人掛けのものは陽さんを真ん中に。ふたり掛けの時はわたしがひとりで座った。
 真麻がわたしに『陽の隣に』と促したけどその都度断った。あんまりにも断りすぎるから真麻もそれから何も言わなくなっていた。

 アトラクションに乗るのは楽しいけど高いところやハードなジェットコースターは苦手だ。
 陽さんはそういうのが好きみたいで「乗ろう」と言ってきたけど、真麻が「苦手」と断ってくれた。
 真麻は好きなはずなのに、わたしのために代弁してくれている。それがまた心苦しかった。
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