重ねた嘘、募る思い
結局鞄は見逃してもらって、三人で入場門をくぐった。
中に入ってそうそう、トイレに行くと言う陽さんを見送ると、目をつり上げた真麻がわたしに食ってかかってきた。
「ちょっと、のん。ノブコって何よ。それに友人って」
「ごめん! つい口からそう出ちゃったの! でも本名教えるのもどうかと思うよ。警戒心が足りないよ……真麻。それに一緒に遊ぶのだって……」
「そうかな。陽だって本名っぽいし、大丈夫だよ。それにさ、あの人startlineの宮内紘基にちょっと似てない? のんのタイプでしょ?」
にまにまと意味深な笑みを浮かべる真麻を横目で見る。
真麻だって紘くんが好きじゃないって言おうと思ったけどやめた。
元々はわたしがstartlineのファンで、ライブチケットをやっとの思いで入手したけど一緒に行く人がいなくて嫌がる真麻を誘ったら同じくファンになってしまったという経緯。
「だからいいかなーって思ったの。なのに、なんで嘘なんかついて」
「しっ、来たよっ」
真麻のわき腹を肘でつつくと「いてっ」と低い声を上げた。