重ねた嘘、募る思い

　真麻に指摘されてはんてん姿の自分に気づいた。
　よりにもよってこんな格好を見せてしまった恥ずかしさがこみ上げてくる。
　そんなことよりもなんで仕事帰りの真麻と陽さんが一緒にいるのだろうか。それを考えただけで、自身の心拍を聞き取れてしまうんじゃないかってくらい高まる鼓動を感じていた。
　それにいとこじゃなく友人だって嘘ついていたこともばれてしまったし。真麻から本当のことを聞いているかもしれないけれど。

　なにより、陽さんの言葉が頭から離れなかった。

　――送らせてくれるってことは僕を信用してくれているってことでしょ――

　まるでわたしが陽さんを信用していないみたいな言い方。
　そうじゃない、そうじゃないのに。

「ちょっと、話の途中で――」

　玄関が開いて、真麻が入ってきた。
　その場に立ち尽くしていたわたしは階段を駆け足で上り、逃げるしかなかった。今は真麻と話したくない。

「のん！」
　
　真麻の声が聞こえたけどすぐに部屋の扉を閉め、そこに寄りかかったままずるずるとその場にしゃがみ込んでしまう。
　なんてお似合いのふたりだろうか。わたしが協力するまでもなくあのふたりはすでにつき合っているみたいだった。