重ねた嘘、募る思い

 真麻はわたしが虐げられると牙を剥く。
 わたしのことなのにわたし以上に怒り、攻撃を始める。まるで子を守る親ライオンのようだ。小さい頃からそうだった。
 鈍くさいわたしが近所の男の子達に追いかけられたり土の団子をぶつけられていると容赦なくやり返した。しかも倍返し。真麻を怒らせると怖い。敵にしたくない人間ナンバーワンだ。


『真麻ちゃんは大人しくしていればかわいいのに、なんでこんなに男勝りなのかしら?』

 よくおばあちゃんがそう口にしていた。だけど真麻は負けない。

『だって、いじわるするほうが悪いんだもん! ね、花音。ずっと守ってあげるから心配しなくていーよ』

 ニッコリと微笑む真麻はまるで女神のようだった。
 小さい頃からの憧れで、強くて、わたしだけにはいつでも優しい真麻。
 こんなふうになりたい、なれたらいいなって思うけど絶対に無理だってことも小さいながらにわかっていたんだ。

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